鍵井 瑠詩

言の葉散歩 〜ゴッホ〜

神戸市立博物館で、9/20〜2/1まで大ゴッホ展が開催されています。
今回の目玉はなんといってもゴッホのアルル時代の傑作『夜のカフェテラス』でしょう。
今回のゴッホ展では、ゴッホの画家としての活動の前半部分にフォーカスが充てられています。
私も、早速展示会へ行ってきました。すると、平日に行ったのにも関わらず、中は人でいっぱい。

神戸市立博物館の入り口にて

会場ではオランダ時代から、パリを経て、アルルに至るまでの作品が数多く展示されていました。
入ってすぐ思ったのは、やはり年代的には中年、それに女性が多いなと。といってひどく偏っているわけでもなく、自分のような学生や、年配の方、家族連れやカップルなど、老若男女が訪れていました。
展示は、ゴッホの画家としてのアイデンティティを構築するにあたって影響を与えた作家たちから始まります。
中に入って一番最初に現れたのは、農民画で知られるフランソワ・ミレー。てっきり、ゴッホだけかと思っていたのですが、いきなりのミレーに前情報なしで言った私は少し驚いてしまいました。ちょっとラッキーな気分。
今回のゴッホ展は、ゴッホの作品に限らず、当時彼が影響を受けたであろう、ミレー、イスラエルス、マネ、モネ、ピサロ、など、多くの画家の作品も展示されています。とても充実した展示で、終始楽しめました。
ゴッホ以外の作品で特に印象に残ったのはイスラエルスの『ユダヤ人の写本筆記者』。陰影の描き方にとても惹かれました。(写真撮りたかった)

そんな名だたる画家たちの後に、ゴッホの初期の作品が始まるのですが、正直ミレーやマネを見た後だと見劣りするような感覚がありました。(自分だけでしょうか)ゴッホの初期の作品は初めて見たのですが、かなり個性的なタッチで当時の市民生活を描いていたのが印象的です。
ただ、この当時のままの彼なら後々ここまで世界的に評価されることはなかったのでは、?と思ったり思わなかったり。

ゴッホ 『夜のカフェテラス』

さっそく、今回の本丸『夜のカフェテラス』
いうまでもなくゴッホの傑作の一つですが、その人気は凄まじかったです。
まず、目を引いたのは『夜のカフェテラス』の前に行くまで、長蛇の列が作られていたこと。写真撮影は許可されていたのですが、20分ほど並ばなくては目の前までいけませんでした。それに、やっと番が来てもゆっくり鑑賞する暇はなく、写真も一、二枚撮ったら終わり。おかげで、歪んだ写真しか撮れませんでしたが、まぁこれは仕方ないですね。少し後ろにも鑑賞スペースが設けられていたので、そこでゆっくりと見ました。
夜を青色にガス灯を黄色に描く、その独自の色彩感覚、間近で見るからこそわかる筆使い、圧倒されました。
『夜のカフェテラス』アルル時代の作品ですが、この時期からゴッホの作品は色彩豊かになっていきます。南フランスに浮世絵のような色彩の美しさを感じ取った彼は、アルルに西洋の日本を見出していたのでしょう。黄色い家での創作活動、ゴーギャンとの共同生活と決裂、そして耳切り事件など、有名な物語が数多く生まれた場所です。
ゴッホについては、昔家族で見に行った原田マハさんの『リボルバー』の舞台を見に行ったことから、いろいろ興味がありました。ゴッホ演じる安田章大さんの熱演が今でも鮮明に思い出されます。

ゴッホ 『自画像』

今回の大ゴッホ展で、ますます彼の画家人生について興味が湧きました。
神戸ではまた2027年に大ゴッホ展が開かれるそうです。次は、アルルから晩年までやるのでしょうか?
いずれにしても、ぜひ足を運びたいと思わせる展示会でした。

では最後に、今回のゴッホ展に行って作った私の短歌もご紹介。
印象派や、ポスト印象派への思いがより強くなった感情で、文芸の印象派を意識しながら『夜のカフェテラス』を題に読みました。

花を挿す吾のため息ほどいたら混じっていたよ『夜のカフェテラス』

印象派、で短歌の連作を作ってみたいな。
言の葉散歩、今月はここまで。また次の回お会いしましょう!

鍵井 瑠詩

鍵井 瑠詩

鍵井 瑠詩(かぎい りうた) 2004年10月19日生まれ。神奈川県鎌倉市出身。 大阪芸術大学文芸学科在学中。 2023年 展示会「青を読む」 2024年 個展「瑠璃色の森」 詩写真集「青を読む」発売中

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