第三回の言の葉散歩のテーマは「詩を探す」です。
前回は抽象的な写真に形を与える言葉、でした。それでは今回はその逆、写実的なものに抽象を見出す言葉です。
私たちの生活はその大きな比重を、視覚に頼っていると言われています。私たちの世界は、とてもきめ細かく洗練されていて、いうなれば徹底的な写実です。そんな物質的な世界に生きていく中で、ふとそこにあやふやを見出してみる。それも、どこか朧げで、どうも愛でたくなる、美しいあやふやを徹底的な写実のこの世界に見出してみるんです。写実的な世界に言葉のヴェールを被せてみる、それが今回の言葉です。こうして言葉を紡いでいく、それは日常に隠れた詩を探し出している、ようなものなのではないかと思うんです。
ではさっそく、あやふやを探していきましょう。

いつか皆さんにも紹介した紅葉の写真ですね。切れ込みの深い葉の輪郭、夕日を浴びている鮮やかな色彩、葉脈まで覗けるディティール。
この写真に、抽象を見出してみましょう。写真に隠れた詩を見つけ出して、一つ一つ言葉にしてみます。
う〜ん、紅葉の葉って五枚に分かれていて、こうみると人の手のようにも見えますね〜、、。
みたいなところから書いてみます。

どうでしょう、この写真の中に少しづつモヤのようなあやふやを感じませんか?
ただの紅葉のその奥に、漠然と秋と呼ばれる何かが現れて、そしてこちらに手を差し伸べている。一枚だけ輝くその神秘さが、その先の秋にすこし不気味な感覚を持たせます。
ここから、もう少し書いてみます。私は、詩を疑問形で終わらすのはあまり好きではないので、、。

どうでしょう。あれほど鮮明だった写真が、何枚ものヴェールを被せられて、輪郭が掴みにくくなってきました。隠されていた詩が、少しづつ言葉によって解き明かされてきた?ような気がしてきます。
では次に、こんな写真はどうでしょう。

季節はもう少し過ぎて冬です。
姫路から帰る道すがら、半月が梢の間から見えたので撮影しました。飛行機雲がまっすぐ引かれてるのがなんだか絵画的で面白いなと。
落ちていく葉のを横目に月がちょうど枝の先に生えているように見えますね、、さて、考えてみましょう。

どうでしょう。憎たらしい月が見えてきましたね。ここまでくると、「なんだか寂しいね」は消してしまってもいいかもしれません。直接的だし、少し安易かな? ニタリと笑う、があれば表現できる気もするけど、消したらあまりにも世界が飛んでしまうかなぁ、。まぁ何はともあれ、私が見つけ出した詩はこんなあやふやでした!
では、最後の写真に移りましょう。
最後は道端に落ちていた羽と水滴の写真です。

水滴を覗いてみると、羽が拡大されているのがわかります。なんだか、水滴の中に別世界が広がっているような気がしてきますね、、。そんなイメージで詩を探してみようかな、、。

う〜ん、どうでしょう。わかりやすく、小さな世界に壮大さを持ち込んでみました。
上手く言ってるかどうかはわかりませんが、まぁ、こういうのもありかな?
もうすこし他にも言葉があるような気がしますので、皆さんもぜひ考えてみてください!
今回は、写実に抽象を見出す言葉でした。日常世界を切り取った写真たちを観察して、そこに潜む詩を見つけて言葉にしてみる。あやふや、言葉のヴェールなど、いろいろな言葉で喩えましたが、要するに詩を探していたということです。
こうやってみたら面白い、素敵、興味深い、美しい、変、可笑しい、そんな普段では考えないようなことを言葉にして考えてみると、世界がほんの少し豊かに見えるかもしれません。今回は、日常に少し言葉を足して、日常に潜む詩を探してみました。みなさんもぜひ、探してみてくださいね!
また、次回の言の葉散歩をお楽しみください〜
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