鍵井 瑠詩

言の葉散歩 〜個展ができるまで〜

もう二年前になりますが、ninegalleryさんで個展を行いました。今回はその回顧録。
(今後、ギャラリーで個展を考えている人の参考になれば嬉しいです。)
というのも、ここ数ヶ月はずっと長編小説に挑戦してて、言の葉散歩で発表できるような創作は何もしておらず、、。


2024年の夏に行った展示会『詩展 瑠璃色の森』。
この展示会は〈詩展〉。30弱の詩作品を瑠璃色の森の中を歩きながら探し読み解く、というコンセプトの展示でした。

上の写真の青い葉っぱたちは全て布で作られています。その中で白く光っている部分に詩が書かれています。↓


私は、詩を書いたり読むということは、森を散策することとよく似ていると思います。
森を散策して、生い茂る植物たちに隠された花や虫、木の実や鳥をふと見つける。詩というものもそうだと思います。日々生活するなかで、地球が隠した詩という鳥をふいに見つけ出す。その鳥を文字で表すから詩になり、たとえば絵の具で表せば絵画になり、ファインダーに通せば写真になり、楽器で鳴らせば音楽になる。そのようなものではないのかな、と気ままに考えています。



『詩展 瑠璃色の森』ができるまで

①構想を練る

というわけで、詩の展示をしようと考えた際、私はすぐに〈森〉というモチーフを思いつきました。自分で森を作り出し、そこに詩を潜ませ、鑑賞者は実際に森を散策するように詩を読んでいく、という形の展示会にしようと決めます。

次に、どんな森にしようか考えました。せっかく作るなら、今まで見たことない森がいい。それに、とびきり美しくて、豊かな詩がいっぱい隠れていそうな。森が何色なら一番彷徨いたいか考えました。悩んだ末に、瑠璃色に決めました。いや、実際にはあまり悩んでないのですが、瑠璃色の森が一番彷徨いたいと思ったのです。私の名前にも瑠璃色の瑠が入ってますし、それに瑠璃色は地球色で、地球のモチーフを扱いやすくなり、詩に幅が出やすいですし。

②制作に入るまで

構想したものはいいものの、森を作るというのはとんでもないことです。
そもそも、どうやって作るんだろうか。それも瑠璃色。
色々探した結果、YouTubeで布から花を作っている人を見つけます。どうやらこの世には『布花』なるものがあって、白い布を糊付けして、染色し、切り出して、コテを当ててワイヤーをつければ花や葉が作れるぞ、と分かりました。私は最初この『布花』を文字でしか知らず、展示会期中に教えていただくまでずっと「ふか」と読んでいましたが、もちろんそんな音読みはせず「ぬのはな」と呼びます。まぁ何が言いたいかというと、そのような状態で、森を作っていこうと決めたのです。

自分自身で好きなように植物を作れる、「これだ!」と高揚した私は、恐ろしいことにこの時点でninegalleryさんに連絡して日程を抑えてしまいます。まだなにもできていないし、作れるかもわからないのに。頭の中だけにある『瑠璃色の森』は、半年後に発表することが確定しました。
無事展示会は終わったので良いのですが、今思うとあの何も出来上がってない状態でよく連絡したな、と少し恐怖も感じます。ただ、締め切りが決まった状態だったからこそ、より没頭して取り組めたのかもしれません。

③制作

まず大量の布が必要になります。本当に膨大な量の布です。
ということでユザワヤの会員になって、布を買うところから始めました。
土台には発泡スチロール。何度もホームセンターに通いました。
今振り返ってみると、結構大規模な作業を行なっています。


当日までの百日間の作業については、私のインスタグラムで毎日その様子を動画投稿していたのでよければご覧ください。

まぁ、森を布で作ろうとしているわけですから、作業は途方も無い量がありました。まず、初めて作るし、ネットで調べてもだれも森を作っている人はいなかったので、試行錯誤を繰り返してなんとか形にしていきました。

インスタを見返すと、残り二十日とかの作業をみて、「えっ、今更それやってるの? 間に合うの本当にこれ」と心配になります。実際、ギャラリーへの搬入の日も徹夜して作業していたので、本当にギリギリでした。

やったことのない初見の作業があまりにも多かったのです。それまでやってきたことがあるのは文芸作品を作ることだけで、それ以外の布花を始め、パネル作り、DM作り、イメージ画像作り、物販の本制作、動画制作等々、全て何回か失敗したのでそれぞれ時間がかかりました。
個展を一回したことで、一通りの必要なことはわかりました。
アクセア、プリントパック、イラストレーター、等々です。そもそも、ギャラリーと連絡をするまでメールもあまり使ったことありませんでしたし。

まぁそんなこんなで当日を迎えます。

④発表

迎えた当日、という前に設置もものすごい大変でした。
なんといっても物量がとんでもない。ギャラリーに来てからも、夜中まで設置をしてやって、当日の朝も作業してました。そんなことあんのかみたいな感じですが、本当に直前までやっていました。

そして個展の日を迎えて、多くの方にご来場いただきました。持っていっていた物販の本も売り切れて、とても良い展示ができたと思います。
なにより、私の詩をたくさんの方々に読んでいただけて、大変嬉しかったです。

⑤課題、今後

実際の細かな展示や雰囲気は、現地に来られた方の特権だと思いますので、ここでむやみに記すのはやめておきます。ですが、皆さんの鑑賞する様子をみて、私はいい展示ができたんだなとホッと安堵したような、誇らしいような気持ちを持ったことは確かです。

この展示会は本当に多くの方々の協力がなくては実現しませんでした。制作や搬入設営片付けを手伝ってくれた全ての方に改めて感謝を申し上げます。ありがとうございました。

ですが、今回の展示で全てが完成したとは思いません。それどころか、やっとスタートラインに立てたような、そんな気持ちです。もっとレベルの高い布花、森の造形、そして詩作品のディテール。もっと改善できる点も見つかって、より一層壮大な夢を見れるきっかけになりました

布花だけで販売できる完成度にまで上げて、詩は本当に探さなきゃ見つけられないように、それも明朝体ではなくそれぞれの文字で、そして今回は叶わなかった天井にも植物の装飾をしたい。

いつか、美術館のギャラリーを貸し切って、大規模な『森の詩展』をやりたいですね。

最後に一つ、展示した詩を載せて終わろうかと思います。
展示会中、来場した方にはあまり人気はなかった作品ですが、、、。


これから個展をやろうと考えている方、参考になったでしょうか。
おそらくなっていませんが、これにて言の葉散歩今月はここまで、ありがとうございました〜。

鍵井 瑠詩

鍵井 瑠詩

鍵井 瑠詩(かぎい りうた) 2004年10月19日生まれ。神奈川県鎌倉市出身。 大阪芸術大学文芸学科在学中。 2023年 展示会「青を読む」 2024年 個展「瑠璃色の森」 詩写真集「青を読む」発売中

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