原田佳実

リス月誌「リスと思考」

みなさまこんにちは。瞬きする間に1週間が経ちまして、リス月誌も2回目となりました。

もう「暑い」という文字を見るのも書くのも嫌気がさすようですが笑、、毎日暑すぎるので本題の前に、まずは涼しげな写真をどうぞ。

エゾモモンガは夜行性なので日中に活動することはほとんどないのですが、明るいうちにトイレをしに出てくる子もいます。氷点下15度の雪の中でじっと待つことさえできれば、絶対ではないですがこうして明るい時間に愛らしい姿を拝むこともできます。

エゾリスと雪面の枯草。冬になると普通に出会うことのできる何気ないシーンですが、こんな日常が私は好きです。

さて、本題です。前回のリス月誌では言語化することについて触れました。

こちらは「りすだもん」に登場する作品の1つです。この写真を撮ることができたのは2019年でした。物語の一節に出てくるような、優しくて、でもどこか寂しい。(自分で言うなって話ですが…)雰囲気のある写真。それまではリスが好きという一心だけでがむしゃらに追い続けていた私が、初めて明確に写真に想いを乗せることができた、こんな写真を撮りたかったんだと気づくことができた、そんな一枚です。ですが、撮ったばかりの頃は、なぜこういう写真が撮りたかったかを言語化できてはいませんでした。

言語化するには、そしてそれを写真に昇華するには「思考すること」が大切だと私は感じており、撮ることより思考すること、それを一番大切にしています。私のリス写真は「好き」であることがとても重要で、思考した分だけ写真にそれを乗せることができると私は思っています(←あくまでも私の考えです)。思考をするのは、シャッターを切るときではありません。リスと対峙しているときでもありません。どういう時にするかというと…普段から、日常的に思考するようにしています。リスに会いたいとか好きとかは元々無意識にいつも考えていましたが(好きってそういうことですよね)、意識的に考えるようにしたのはそういうことではなく、どんな写真が撮りたいのか、何を伝えたいのか。哲学的な、根本のことです。それを常に頭の片隅において、ぐるぐると脳をかけ巡らせ、少しずつ脳から体に馴染ませてゆきました。

シャッターを切る際には思考していないと書きましたが、正しくは無心です。森や山といったフィールド上では、自分がその場所にいて当たり前の存在、いわば空気になりたいのです。リスたちを警戒させてしまわぬよう、彼らが自然体でいられるよう、私は空気になるのです。空気は思考しません。撮影時は基本的には頭を真っ白にして感覚的に動いています。日常的に思考して自分自身に馴染ませておけば、シャッターを切るときは無心でも、写真に想いを乗せられる。そう信じているし、そうなれたらいいなと思います。

ちなみにこれはすっごく余談なのですが、2022年のスマホの壁紙です…。当時は変人扱いされていたし恥ずかしいのでここだけの話にしておいて欲しいのですが、思考をちゃんとはじめた最初の頃は意識的に考える習慣を身につけるためにこんな壁紙にしていました、、笑 おすすめです!

写真展「リスになりたい」は、本日設営です。ようやく明日からみなさまに見ていただくことができます。

…が!なんと東京は今週、最高気温39度の予報が出ています。灼熱です。もしかしたら今年の暑さのピークかもしれません。ギャラリーにお出掛けの際には、日差し対策と水分を忘れずに。どうぞくれぐれも気をつけてお越しくださいね。

それではNine Galleryでお会いしましょう!みなさまのご来場を心よりお待ちしております!

原田 佳実

原田 佳実

原田 佳実(はらだ よしみ)。東京都出身、在住。 リスの人。 個展【2018年11月「りすぱら」ギャラリーNadar/2020年1月「りすだもん」ソニーイメージングギャラリー銀座/2024年11月「ももんがたり」OM SYSTEM GALLERY】 著書【「森でつながるエゾモモンガ」(文一総合出版)】

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コメント

  1. 中島さやか

    コラム2回目も楽しく拝見しました!
    言語化すること、思考し続けること。とても大事で難しく永遠の課題のように感じています。
    「空気は思考しません」という表現、納得だしとても素敵ですね。リスたちへの優しさを強く感じます。
    優しい空気のそばでリスたちも安心していつも通りの姿を見せてくれるのでしょう。明日からの個展、楽しみにしています。