Sayaka

写真と「桜」

こんにちは。さやかです。
3月後半に開花した桜も、気まぐれに訪れる春の雨や風によって終盤を迎えています。
咲くまで蕾の膨らみ加減を眺めながらまだかな、まだかな、と心待ちにしていましたが、いざぽつりぽつりと咲き始めると、あっという間にその盛りを迎え潔く散っていってしまいます。それでも今年は途中天候が崩れたこともあり長く楽しむことができました。

さて、朝習慣の撮影ですが、ころころと変わる天候の中で少しずつ、確実に移り変わっていった季節の終わりからはじまりを目にしてきました。

3月後半。東京では珍しく雪化粧となったある日、朝習慣を始めてからはじめての雪でした。かなり冷え込んでいましたが、わ!雪だ!とウキウキしていたのでそういう時には寒さも気になりません。また別の日には、紫陽花に目が止まりました。冬の間は枯れ木のような佇まいでしたが、冬眠から目覚めたように青々しい葉っぱが我こそは!と生命力を放ちながらスクスクと育っている様子が印象的。梅雨どきにはどのような色で咲くのかと今から楽しみです。


4月の前半。雨降りの日が多く、若葉や花々が瑞々しく普段とは別の表情を見せてくれます。生き生きと喜んでいるようにも、しっとりと思いを巡らせているようにも。
今日は雨か…と朝から少し憂鬱な気分になりますが、植物たちの別の姿が見られると思えたので雨の日の楽しみ方を一つ教えてもらったようです。


またある日見つけた大きな蕾。どんな花が咲くのだろう?と気になったので定点観察を試みました。2週目に姿を見せたのは真っ白な花びら。そっと近づいてみると南国の果実のような甘い香りがふんわりとして朝からいい気分に。4週にかけて観察しましたが残念ながら開花には出会えず、4/17の朝時点では見事に散ってしまっていました。他の木でもきれいに開花しているものは確認できなかったので、時間帯や曜日を変ればタイミングが合うのかもしれません。(おそらく、カラタネオガタマという花木で1〜2日で散ってしまうようです)

さて、この季節は新芽がこぞって生えたり、赤や黄、青などと華やかな色に溢れたりと、自然界のエネルギッシュな動きに何を見ようか、撮ろうかそわそわとするのですが、やはりこの季節一番にきゅっと心を掴んでいくのは「桜」です。心の奥底にそのようなスイッチが埋め込まれているかのよう。桜という淡く儚い存在を今年も目に焼き付けたい、という気持ちが根っこにあるように思いますが、桜が咲くから出かけよう、誰か誘ってお花見ランチをしようと外に意識が向き行動を起こしたくなるのもこの時期です。長く続いた寒い季節を経て、ようやく春の兆しを感じる頃合いに咲く桜と、暖かくなってきたことで動き出したくなる感覚とが一致するのかもしれませんね。人も自然界の一部なんだなと改めて感じます。

今年の桜も、駅までの行き帰りに眺めながら歩いたり、朝撮影でカメラを構えて向き合ったり、身近な方たちとお花見ランチをしたりといくつかのシーンで楽しみました。

思い返せば数年前、今のように外でわいわいと桜を楽しむことが難しい時期がありました。そんな中でも、できる形で楽しみたいと、部屋の窓辺にセットしたテーブルから満開の桜を眺めて過ごした時間。近くを散歩しながら手に取った花びらを形に残したいと半ば使命感のような気持ちで仕上げた作品。その時は今できることをしなければ、と自分なりに必死だったのだと思いますが、だからこそ今のまるで何事もなかったかのように外で桜を見上げ誰かと共にする時間が、消えてしまわないようにずっと続くように、今まで以上に愛おしんでいるのかもしれません。

間(あわい) 2020

心も体もまだまだ春を楽しんでいたいのですが、ツツジが咲きはじめ、早くも初夏のような日差しを感じるようになってきました。紫陽花も着々とシーズンに向け成長スピードを上げています。私は暖かくなり動き出したくなった頃に、写真と文の七緒さんにプロフィール写真を撮っていただきました。鎌倉山の麓で穏やかな光とたくさんの緑に囲まれ、言葉とカメラで七緒さんと対話をするように過ごした時間を、空気感ごと撮っていただいた一枚です。リニューアルした写真とともに、気分も新たに次の季節へと向かっていきます。

Sayaka

Sayaka

Sayaka さやか東京都出身 ファインダーから覗く小さな世界を、 0から自分で好きなように作りあげることができる そんな、写真の自由さと可能性に魅せられて作品作りをしている ざらっとした質感の、触れたくなる写真や、 パレットで色遊びをするように色彩や光を滲ませた作風が中心写真展 「〇[en]」(2011)、「Quartetto」(2014)、「Reply」(2017)、 「写×書」(2018、2019、2020)、 「青のサーカス」(2022)など 個展 「滲む」(2015)、「間(あわい)」(2019)、「接ぐ(はぐ)」(2023) 写真集「Spice」(2017)、「接ぐ(はぐ)」(2023) Popup Store aoiケーキ店(2024)

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