2021 2

【2/2-7】鵜川真由子写真展『WONDERLAUND』

【 WONDERLAUND 】

初めてNY へ行ったのは10 代最後の夏。
友達と2人で母の友人が住むボストンへ遊びに行き、そこからアムトラックで約4時間かけてマンハッタンへ。
たった2日間の滞在だった。
無知であることさえ知らず、常に新しい『何か』を求めていた年頃。だけど正直なところ、街の印象はあまり深くは残っていない。
道はタバコの吸い殻だらけだし、ホテルはボロくて部屋は傾いてるし(そのわりに高いし)やたら話しかけられるし、何だかみんなテキトーだな…くらいの感じだった。
一つだけ、美術館で、ある絵画を見た時に全身鳥肌が立つという体験をしたことだけが強烈に心に残っている。
どうしてなのかは全くわからないが、そんなことは後にも先にもこの一度だけだった。
描いた人はもうこの世にはいないけれど作品だけがずっと残っていて、人の心を動かし続けている。
単純に、純粋に、素敵なことだと思えた。
当時の私はやさぐれていて、色んなことに投げやりになっていたからそんな気持ちになったのは意外だった。
何というか、少し救われたような気がしたのだ。

そんな体験をしたことで、NY は私の特別な場所になった。

写真をやっていくと決めてから、悩んだり迷ったりするたびにその時のことを思い出す。
もちろん偉大な作家の足元にもおよばないけれど、自分の生きる小さな世界の中で私の写真を見て楽しんでもらえるよう、もうちょっとだけ頑張ろうと思いながらやってこられた。いつかNY を撮りたいという思いを抱いていたのは自然の流れだろう。
そして2015年、企画展の撮影のために再びNY を訪れることになる。撮影の合間にスナップを撮り始めるとすぐに街の魅力にとりつかれてしまった。
それと同時に若い頃の自分は何も見えていなかったな、と改めて気づかされたのだった。
この街の魅力は多くの作品が語っているし、国内外の色んな地域から人が移り住み、皆に愛されていると感じる。
私はNY には住んだことはないし、この先も住むことはないと思うけれど、人生の色んな場面において気づきを与えてくれる大切な場所になっている。
そんな街の愛おしさを、てくてくと歩きながら拾い集めていた。

2020年のパンデミックにより、NYはとても遠い場所になってしまいました。
私の訪問時には日本のことを心配してくれていた皆さんが無事であることを祈りつつ、感染された方々にお見舞いを申し上げます。
いつかまた安心して世界を行き来できる日が来ることを心より願っております。

【写真展概要】
▼タイトル:WONDERLAUND
▼作家名:鵜川真由子
▼日程:2021年2月2日(火)〜2月7日(日)
▼時間:10時~19時(最終日は17時まで)
▼入場料:無料
▼会期中イベント:2/6(土)トークイベント(ゲスト:写真評論家 飯沢耕太郎氏)その他詳細未定

【作家PROFILE】
鵜川真由子
株式会社松濤スタジオを退社後、アシスタントを経て独立・ 広告や雑誌などでポートレイトを中心に活動するかたわら作品制作を続けている。
2010 年 ・グループ展「ひかり」 ギャラリーアビィ
2012 年 ・個展 「The Secret Garden」 dish
2013 年 ・TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD 入賞
・グループ展「nice to meet you」十和田市美術館
・個展 「Out of the Garden」 キヤノンギャラリー(銀座・仙台・梅田・福岡)
2015 年 ・グループ展「Alternative!」Gallery Conceal
・個展 「NY Love Stories」ニューヨーカー銀座フラッグシップショップ
・個展 「Ginza Love Stories」ニューヨーカー銀座フラッグシップショップ
2017 年 ・個展 「Rhapsody in Blue」キヤノンギャラリー(銀座・梅田・名古屋)
2018 年 ・グループ展「 FUN 展 」神宮前スタジオ A-gallery
2020 年 ・個展「 LAUNDROMAT 」フジフイルムフォトサロン東京
  ・写真集「 WONDERLAUND 」を刊行